街のひとつの歩き方(8)

これはかなり無理な帰納的推論だが、地下鉄以外の乗り物の”相客”は親切なように思う。アッピア街道をカタコンベまで2時間位歩き、疲れたので帰りはバスにしようとバスストップに並んだ。皆が切符を持っていることに気付いた。後ろの女性に切符のことを尋ねた。「これはローマのテルミニ駅で買ったものだ。回数券なのであげる」と切符を二枚くれた。ポルトガルからの人だった。香港でも、二階建てトラムに乗って、地図を見ていると、香港の男性が「どこへ行きたいのだ」と尋ねてきた。地図で示すと「次の停車場で降りて、右へ渡るとその建物がある。渡る時に車に気をつけて」と教えてくれた。渡った後、後ろを振り返ると、その男性が見守ってくれているように見えた。