街のひとつの歩き方(9)

グリジェントのバスストップ。切符をにぎりしめやっとバスに乗ることができた。予約しているホテルは古代ギリシャ人が植民地に建造した神殿群[1]の傍にあるはずだ。降りるタイミングをここかここかと迷っている間に古代神殿群を通り過ぎてしまった。仕方なく、そのままバスに乗り続け、終点のアフリカ側の海[2]まで来た。少年達や大きな黒いビニール袋に荷物を入れて持っているアフリカ男性は降り、バスには我々と運転手のみ残った。バスの運転手にホテル[3]の予約確認書を見せて、どうしたら良いか尋ねた。英語は話さず、このままバスの中に居ろという風にジェスチャーし、自分の胸を叩く。任せろと言っていると解釈し、バスに残った。戻りの経路で、ホテルの傍のバスストップで合図して降ろしてくれた。シチリア人に感謝した。

 

 

[1] 神殿の谷。地中海を臨む丘に、紀元前6世紀~5世紀に建造された保存状態のいいギリシャ神殿が見事に立ち並ぶ、ギリシャ神殿の町(www.siciliaclub.net

[2] シチリア海峡。対岸はチュニジア

[3] Hotel Villa Athena 部屋やレストランから古代の神殿群が見える