救急車 ROMA AMOR (13)

そう言えば、出かける前、もう一つ事件があった。パン焼き器に油ののったクロワッサンを入れるのは危険。 ホテルの朝食のカフェテリア。 食パンを載せると、 ベルトコンベアが回り、 こんがりしたトーストが出てくるしかけの装置があった。 妻がクロワッサンを暖めたいというので、 ベルトコンベアにクロワッサンを載せてみた。 順調に流れていったが, 途中で少しひっかかり、 気が付くと炎を出して、 燃え始めた。 後ろにいた半ズボンの体格のいいアメリカ人らしい男性が, 「Fire!」と嬉しそうに叫ぶ。 救急車の次は消防車かと一瞬頭をよぎった。  燃えながらクロワッサンは回り続け、 間もなく自然鎮火した。 まるこげのクロワッサンが装置から出てきて、 とり皿に落ちた。 カフェテリアを出る時、 さっきの男性がこちらを向いて、 Vサインをした。 昨夜に続いて、隣人に元気づけられる。