街のひとつの歩き方(20)

翌朝、ローマへ戻る。10:40の船に乗ることにした。帰りの船までのトランクはどうするのか尋ねた。フロントに早めにトランクを預けると、港まで運び、船に載せるという。船の切符は港でマルコという人から貰うようにと説明を受ける。会えない時のための移動電話の番号も教えてくれた。マルコに会えるか、トランクが船に無事に載るかなど不安だという表情をすると、フロントは完璧なシステムと胸を張った。船着き場は混雑していた。マルコという人を指定された場所で探すが、見つからない。船に関係ありそうな人に尋ねると、マルコ・・・マルコ・・・と大声で呼んでくれた。イタリアでは、雇われている人でも、雇用主とは無関係に、一人一人が自分の名前で生きているようだ。切符を受け取ると、船の時間が13:40となっている。ホテルのフロントで予約した船と違う。マルコはこれで10:40の船に乗れると言う。トランクがどうなるのか心配だったが、トランクは船の後尾に無事積んであった。カプリ島に来るときに荷物用の切符を買ったのは後尾に荷物を置くためのものだったらしい。