街のひとつの歩き方(16)

カプリの街の夜は独特の雰囲気だ。着飾った男女が練り歩く。中心部のオープンカフェはそのような人々が酔っているのか大声で挨拶しあっている。細い街路を目の覚めるような美女が白いリゾート用のドレスを着て、モデルのように背筋を伸ばしてゆったり歩いている。入ったレストラン[1]にはジャクリーヌ夫人・オナシス氏と一緒に写る店の主人の写真が大きく飾ってある。翌夜、先程の美女は本当のモデルであることがわかる。別のレストラン[2]の外の席から道を眺めていると、定期的に同じ美女が毎回違うデザインの白い服を着て歩き、その後ろから同じ様な男性が歩いてくることに気付いたからだ。100%カプリという衣服店の歩く宣伝だった。そんな喧噪から離れて、展望台へ行く。カプリの町並み、ティレニア海、そして、ポンペイを埋もれさせたベスビオス山への,夕暮れの展望は一段と素晴らしい。

 

[1] La Capannia

[2] D’ Amore